ClubHouse(クラブハウス)録音、禁止事項、犯罪、セキュリティーについて

前回「流行りのSNS、ClubHouseの今時事情について」に引き続き、今日もClubHouse(クラブハウス)ネタです。

日本語の部屋に入ると最近よく耳にする、クラブハウスの禁止事項や、録音したらどうなるか?とか、そういうところに疑問点があるユーザーさんが多いようなので、その辺りについて、こちらでは今どんな感じなのかをレポします。

つい先日、ClubHouseの中で、「元刑事や専門家の人達と”クラハで出来る犯罪”を企む部屋」なんていう面白いタイトルの部屋があったので、入室して話を聞いてみました。そこでは録音してそれをどこかで流したらどうなるのか?とか、色々ディスカッションされていて、とても興味深かったです。

会話の録音に関してですが、ここでは2種類のルールがあります。一つはClubHouseというアプリを使用する際の条件としてのルール、つまり規約で、それに同意してユーザーはダウンロードしてアプリを使用します。もう一つは、法律という厳しい方のルールです。今の日本のことは詳しくないので、ここアメリカでのことを書きますね。

ご存知のように、ClubHouseでは、規約として会話の録音は禁止されています。そして、通話の録音に関するこちらの法律ですが、アメリカは大きいので州によって法律が細かく違います。ただ、ほとんどの州で、通話の録音には当事者の同意が必要であると法で定められています。この中で、更にもっと細かく見ると、私の住んでいるカリフォルニア州を含む11の州では、会話を録音するためには、参加する当事者全員の同意が必要とされています。つまり、ClubHouseのような複数人での会話の録音は、参加する全員の了承が得られない場合は、法律違反になるということです。

ちなみに、こちらで企業やお店のカスタマーサービスに電話をすると、たいてい「この電話はサービスの品質を向上させる目的で録音されています。」と、それこそ録音された音声で、保留の間に一方的に言われます。もしも録音に同意できなければ、ここで電話を切るしかないので、実際は問答無用で了承させられていることになります(^^;)。

話を戻します。上記2つは守らなければいけないルールですが、次に、こちらで実際に起きている、現実の問題に触れたいと思います。

リバースエンジニアリング(Reverse engineering)という言葉をご存知でしょうか?これはアプリの動作や仕組みを解析して、ソースコードなどを調査することですが、セキュリティーの甘いアプリでは、意外に簡単にできてしまいます。このこと自体は違法ではなく、良いことに役立てられることも多いです。ただ、またまた法律とは別で、オープンソースでない限り、ソースコードのコピーは禁止というコピーライトやアプリの規約が存在することはとても多いです。つまり、やっちゃいけないわけですね!

ClubHouseがオープンしてすぐの頃から現在に至るまで、今のところiOSでのみ利用可能であるため、一部の開発者がAndroid、Windows、およびMacOSバージョン用のサービスを勝手に作成して、複数のウェブサイトや非公式アプリを作って公開しているという問題が起きているのです。もちろん、見つけられ次第、どんどんサイトは閉鎖され、アプリはダウンロードが禁止されていっています。違法だし、怖いFBI警告が出るページもあるので、ここにリンクはあえて貼りませんが(苦笑)、英語でググると今もいくつか出てきます。そういうものを利用すると、ClubHouseメンバーになっていなくても、iPhoneでなくても、ClubHouse内の会話を全部聞けるようになっています。日本で同じようなことが起きているかどうかは知りませんが、、、。

こういった違法のサイトやアプリに出てくる部屋の会話は、とある個人が自分のフィードからウェブサイトやアプリにストリーミングしているわけです。ClubHouseでは毎回こういう個人を特定すると、すぐにアカウントを停止し、個人の持っていたウェブサイトなどにも、将来人々がアクセスできないように、追加で処置を取ると声明しています。つい最近も比較的大掛かりなのがあったのですが、一ユーザーが複数の部屋にアクセスして、会話データをストリーミングしていたという事実が発覚しました。ここでのポイントは、本来は同時には入れないはずの複数の部屋に、同じ人物が同時アクセスしていて、それが出来たという事実そのものが、セキュリティーの穴を証明した形になったということです。これによってClubHouse側にたくさんの質問や要請、注意喚起がされる結果となりました。

まだまだ若い、ベータ版のアプリ故に、セキュリティーには当然脆弱性があります。当初、日米で毛嫌いされていたZoomにしても、バージョンアップが繰り返されて、今ではかなりセキュリティーが強化されてきています。この辺りは新しいものにつきものだからと我慢して、利用したい方は割り切って使うしかないですね。

それから、ClubHouseに限ったことでなく、SNSを使う場合は、文字であろうが音声であろうが、写真であろうが、動画であろうが、全てがぶっちゃけ半公開、セミプライベートと思って、使うべきだと、こちらのインターネットセキュリティーのエキスパートの間では言われています。一度SNSに出したものは、流れる可能性を常に想定して、パスワードがかかっていようが、24時間で消えてしまうとか関係なく、発言、撮影などするべきだということです。これには個人的に100%同意です。

会話の録音に便利な小型の録音機

無料でソーシャルメディア、ひいてはインターネットを使って楽しむには、知らないうちに、お金ではなく個人情報やプライバシーを切り売りして、誰もが少なからず代償を払っているのかもしれませんね。

さて、ここまではハイテクを駆使したルール違反ですが、手動でアナログな違反もたくさんあります。これは、日本も同じようで、Youtubeに行くと、イーロン・マスクのスピーチや、最近あった、おぎやはぎの小木さんのフェミニストとの戦いまで、たくさん音声動画が上がっています。こういうのは、先に挙げた問題と比べると、なんだか無害でとても平和な感じがするのは私だけでしょうか?

最後に、こちらではずっと問題になっている、簡単にリアルな犯罪につながってしまう、有害で危険な問題を提起したいと思います。誰もがスピーカーになれて、自由に気軽に情報発信ができる、便利な場所のClubHouseですが、陰謀論を唱える人達、ヘイトスピーチをする人達、フェイクニュースを流して混乱させる人達、人種差別やLGBTQへの差別主義者など、数え上げたら本当にきりがないほどの問題やヘイトを生むきっかけになる集まりの格好の場所になってしまってもいるのです。書いたことや写真や動画が残る、他のSNSと大きく違って、部屋を閉じたらそこでの会話も閉じられてしまい、基本的には証拠も消えてしまいます。全てがライブなので、誰も議論の展開は予め予想できません。元々そういうトピックの部屋でなかったのに、誰かの悪質な掛け声によって、虐めのようなことが起きるのです。参加者全員または多数で、一人の人物を問題人物としてレポートして、実際にアカウントを停止させてしまうという、被害者も出ています。

一番記憶に新しいものでは、100万人以上のInstagramフォロワーと15,000人のクラブハウスのフォロワーを持つ、あるインフルエンサーが、コロナワクチンに関して誤った情報を発信し、それを正そうと発言をした医者を非難し、自身のツイッターに3人の医師のクラブハウスプロフィールのスクリーンショットを投稿しました。この医師たちはクラブハウス暴徒の標的になり、Instagramで殺害の脅迫を含む50以上のメッセージを受け取ったということです。この騒ぎで、クラブハウス内にクラブハウス被害者の部屋が作られ、インフルエンサー側に付く人、医者の味方になる人、様々でした。これに付随して、コメディアンの女性が黒人医師に嫌がらせをしたとか、それは濡れ衣だったとか、話はどんどん続くのですが、一体誰が本当のことを言っていて、何が悪かったのか、私には真実はわかりません。ただ一つだけ言えるのは、多勢に影響を与えられるフォロワーの多いインフルエンサーは、センシティブなトピックの場合は、本当に慎重に発言しないといけないということです。

今日はClubHouseの闇のような部分をちょっと書いてしまいましたが、今まで知らなかった世界のことが知れて、異業種の方のお話が聞け、普通ならお話する機会が絶対なかったであろう、遠くに住む方々と気軽に会話ができて、うまく使えば楽しいアプリです。今後はもっとセキュリティーが強化されて、うまく利用されていくといいなと思います。

前回の「ClubHouse(クラブハウス)録音、禁止事項、犯罪、セキュリティーについて」も良かったら読んでみてください。

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