レイオフ、マイクロソフト訴訟

先日書いたアメリカンオフィスの英会話のスキットで、訴訟の話が出てきていて、はて、どんなケースだったっけな?と気になって、調べたら分かりましたので補足でアップします。もうかなり前、2000年のことだったんですね!この頃、私が働いていた大手ハイテク企業でもバンバンレイオフがあって、毎回ヒヤヒヤしていたのを覚えています。

余談ですが、アメリカンオフィスの英会話は、昔、私が同名の電子メールマガジンを発行していた時期に書いたものに加筆修正して、リニューアルしたこのサイトに挙げています。件のスキットは、内容はかなりシビアですが、今も毎日のように、ここシリコンバレーで現実に起きている出来事です。

さて、今回話題になった訴訟ですが、約1万人のコントラクターが、全く正社員と同じように長期で働いてきたのにもかかわらず、株や保険、福利厚生などのベネフィットがもらえないことを不服として、マイクロソフトを訴えた裁判です。裁判は長引き、結局マイクロソフトが合計9千700万ドル(日本円で121億円)を支払うことで、やっと合意に達しました。コントラクターが大企業を訴えて、大勝利したのです。

当時のニュース記事はこれです。→ Temp Workers At Microsoft Win Lawsuit (英語)

この結果を受けて、米大手企業の多くは、同じような訴訟を恐れ、派遣や契約で働いている人たちが一定の期間に達すると、契約終了するようになってきました。この会話文のジョンと同じように、突然職を失うコントラクターたちが今増えています。運良くその時に社員枠(head count-ヘッドカウント)があって、企業がそのワーカーを気に入っていれば、その時点でオファーを受けて正社員になる人もいます。でも、そうでない場合は、職場を去る以外にないのが現状です。

コントラクターの首切りの話が出たので、ついでにレイオフの今時事情をお話しますね。この訴訟の話はちょっと古いので(笑)

コントラクターは解雇、契約打ち切り、更新なし、まあそんな感じでterminate(終了)されますが、レイオフは正社員がされます。コントラクターは職を失ったらそれきりで、既に働いた分の給料以外、びた一文何ももらえませんが、正社員には普通パッケージと呼ばれるベネフィットが付いてきます。これは勤続年数だったり、その時の企業の業績だったり、ポリシーで決まっていたり、一概にはいくらと言えませんが、大体少なくともレイオフ後2-3ヶ月分から、長ければ1年分のお給料が付いてきたりします。この期間内に健康保険もそのまま引き続き付くことが多くて、職を失うのは確かにショックですが、特にこのシリコンバレーではものすごく悲惨という話でもありません。運が良く、レイオフを宣告されてからさっさと就活に動けば、働いていないのにお給料がもらえている間に次の職が決まり、しばらくの間ダブルインカムなんてことも十分ありえます。ただ、倒産してしまって解散だと何ももらえないで悲惨、ということもあります、、、

レイオフ自体は必ずしもその社員の出来が悪かったからというわけではなく、大きな組織上の編成であったり、会社経営上の利益の問題であったり、まあ誰にでも起こりうることですね。ただこのやり方が、レイオフの規模によっては、とても生生しかったり、ちょっと怖かったりもあります。どのレベルの人がレイオフになるかによっても深刻さが違ってきます。

例えばペーペーの平社員なのか、アッパーマネジメントクラスで企業秘密をたくさん知っている人なのか?などの違いです。人によっては、2ヶ月後に辞めてください、な〜んて会社からの信用がいっぱいなのか、たくさんの猶予をもらって最後まで楽しく仕事をして辞める人(ちょっと少ないケースですが、知り合いにいました)がいたりする反面、レイオフを宣告された瞬間にセキュリティーガードがさっと現れて、じとーっと見張られ、私物を整理する間もずっと真横で見張られ、終わると両脇を抱えられた状態で、ビルの外にエスコートされて出て行かされる、というケースも多々あります。

既出のコントラクターの解雇になると、パソコンや電話に触れることも許されず、さあ荷物をまとめてください、とやはりセキュリティーが横についた状態で荷物をまとめて追い出されることになります。昔、ランチに行って戻ったら、同じ部屋の同僚(コントラクター)がいなくなっていて、彼女のデスクに飾られていた花瓶のお花がゴミ箱に投げられていたのを見たことがあります。さすがにショックでした。お別れも言えず、、、。その後、ハイエナのように他の社員たちがその人の机をぱらぱら訪れて、文房具で使えそうなものを漁って行ったりします(汗)。( ̄。 ̄;)

セキュリティーが参上するのは、解雇と決まった人間がパソコンのデータなど会社の情報にアクセス/漏洩するのを防ぐためと、稀に憤慨、逆上して暴れたりという人がいるかららしいです。会社に出社した時に、いつもよりセキュリティーガードの人数が多いのに気付いたら、レイオフのサインだという友人もいます(苦笑)。嫌ですねぇぇぇ。

話が正社員に戻りますが、正社員のレイオフの場合は大体2週間後にとか、今週いっぱいとか、身辺整理をする猶予をもらえる場合がほとんどです。その間に、お別れのメールを関係各所に送ったり、仕事の引き継ぎをしたり、会社の秘密をいっぱい知っている職の人の場合は、企業秘密を外部に漏洩しない誓約書にサインさせられたりなど、色々です。残りの有給を全部消化すべく、じゃあ明日からもう来ませんって人もいます(笑)。

長くなりましたが、先日のスキットの背景の補足でした!